“タバコさぼり”がいつまでもなくならない「日本の問題」 ~ “少しの勇気で環境を変えられるなら、賭けてみる”

 また、タバコ休憩という名のサボリの問題の記事。本当にいつまで続くのでしょうね? 明らかなサボリなのに。

 しかしこの論説は、その解決が進まないことを、「日本の問題」として解説しています。

 タバコ休憩と長時間労働の議論がいつまでもなくならない日本の問題点(滝川徹 時短コンサルタント)
  =『シェアーズカフェ・オンライン』2023/05/01 06:30=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“先日Yahoo!ニュースでタバコ休憩に関する記事が話題に……コメントも多数つきタバコ休憩の賛否が議論になっていた。この記事に限らず、日本ではタバコ休憩に関する議論が絶えない

“なぜタバコ休憩はこれほどまで議論になるのか。その本質を紐解くと、日本の働き方改革が思うように進まない理由と同じ問題が浮き彫りに”

■ 「あれはなんだ?」と言い返した大前研一氏
……経営コンサルタントの大前研一氏。彼は日立製作所に勤務していた頃、勤労課の人間としょっちゅう衝突していた……仕事中眠くなって裏庭を散歩していると、勤労課の人間に席に戻るように注意された。

新しい設計や発想をするために考えごとをしていると伝えても、みんな自分の机で仕事をしているからという理由で机に戻るように言われた……トイレに行くだけで「休憩時間に行ってください」と注意されることも……抽出機を持ちこんでコーヒーを楽しんでいたら勤務中にコーヒーを飲むのはおかしいと注意されたこともある。「火気厳禁と書いてあるじゃないか」などと言われ、タバコを平然と吸っていた課長を指さして「あれはなんだ?」と言い返した”

“大前氏が会社を辞める頃には職場のいたるところでコーヒーの湯気が上がっていたという。このことをふまえ大前氏は……次のように書いている。

……叩かれるから、最初の違反者にはなりたくない。でも怒られないと分かるとこぞってやりはじめる。日立時代は日本企業の組織の本質やサラリーマンの集団心理を学んだ……

大前氏のこの発言はタバコ休憩の議論の本質を紐解く鍵になる”

 「火気厳禁」だからコーヒーを沸かすのは禁止、なのにタバコはOK? これは昔でもナンセンスと思いますが……?

 大前氏の言葉からの、解説が続きます。

“タバコ休憩に関する議論を見ていると、匂いが不快という点を除けば業務時間中に休憩を頻繁に取ることの是非が論点になっていることが多い”

すかいらーくは喫煙による周囲の社員の健康被害、いわゆる受動喫煙による健康被害を考慮して、社内はもちろん勤務先周辺での喫煙まで禁煙とした。2019年にこのルールが開始された際には大きな話題となり法的な妥当性まで論じられたが、ここまで厳しいケースはかなりのレアケースだ”

“タバコ休憩に関する記事のコメント欄には、タバコ休憩だけ黙認されていてズルいという趣旨のコメントも多い……こうしたコメントを見ているうちに一つの疑問を感じた。それはタバコ休憩と単なる休憩何が違うのだろうか?というものだ”

“たとえば業務時間中に席を立ち、近くの窓から外の景色をしばらく眺める。この行為はタバコこそ吸っていないが、タバコ休憩と本質的になんら変わらない……そうするとタバコ休憩が黙認される職場であれば同じ頻度で休憩を取っても問題ないということになる”

“「タバコ休憩がズルい」と言う人は、自分もタバコ休憩と同じ頻度で休憩を取ればいい……上司から文句を言われたら……タバコ休憩と何が違うのかと問いただしてもいいはずだ”

 しかし、職場の喫煙サボリに憤る人たちは、これを実行できないでいる、その現実について。

“しかし、実際には多くの人がそうしない(できない)。その理由は、大前氏の言う「最初の違反者になりたくない」という日本企業の本質・サラリーマンの集団心理

“タバコ休憩問題の本質はタバコそのものではなく、まさにこの部分だ”

“仕事中の休憩も、職場の誰かがはじめれば当たり前になる可能性も……しかし、職場で休憩を自由に取るために大前氏のように会社の人間と言い争うのは現実的ではないと感じる読者も多いだろう”

“職場の慣習を変えるのには必ずしも争う必要まではない……ちょっとしたことで会社の風土を一気に変えることもできたりする”

“作家ケビン・クルーズ。彼はある企業の社長だった頃、部下から頻繁に「ちょっといいですか?」と声をかけられて時間をとられることに強いストレスを感じ……紙に「1440」と大きく印刷し、社長室のドアの外側に貼った。数字は1日の分数=1440分を意味していた。しかし他に何も説明を書かなかった……意味を尋ねられると、時間の大切さを思い出すための工夫だと答えた。ケビンは自分自身のことを言っただけだったが、しばらく経つと飛び入りの相談が急に短くなった……社内で「1440分しかないから」という声があちこちで聞こえるようになった”

“ケビンは時間を大切にしようというメッセージを示した。その点で最初の違反者になった。その後同じように行動しても怒られないとわかった社員はこぞって時間を大切にするようになった”

“社長だったからこそできたこと。そう考える読者もいるかもしれない。しかし筆者は一社員でも同じことができると考えている……筆者が最初の違反者になった経験を紹介をしたい……数年前、まだ働き方改革という概念がなかった頃は残業している同僚も珍しくなかった……筆者は常々早く退社したいと考え……意を決して上司に早く帰りたいと自分の気持ちを打ち明けてみた……意外にも返ってきた回答は仕事さえきちんとやれば問題ないというものだった”

“その後上司のアドバイスもあり部下に同様の話をした。予想に反し好意的な反応がほとんどでびっくりした……それから筆者は気兼ねなく早く帰れるようになった”

“自分の考えを他人に表明・主張すれば想像以上に自分の環境を変えられる可能性はあるのだ”

“働き方改革が思うように進まないのは企業の責任も大きい。しかし企業や環境のせいにしていても不満は募るばかり……最初の違反者になるにはたしかに勇気がいる。しかしほんの少し勇気を出すだけで職場の風土を変えられる可能性があるのであれば。そこに賭けてみる

 タバコ休憩がない職場でも、三次喫煙などで不快なことがある人は、思い切って、方法・言い方をよく考えて、訴え出てはいかがでしょうか。


 
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