親の喫煙での健康被害がまた 子どもの血圧にも影響
親が喫煙していれば、たとえ外で吸ってこようが、家族、とくに子どもに健康被害があることは、すでにあらゆる研究で立証されていますが(→末尾に過去の関連記事リンク)、また新たな調査結果が出ました。
日本人幼児の血圧値と体格・基礎疾患・環境要因などとの関連を検討、エコチル調査より
=『QLifePro』2023年09月07日 AM10:20=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“子どもの健康と環境に関する全国調査(以下、エコチル調査)……4,988人の2歳と4歳時点での血圧平均値を算出し、体格、基礎疾患、環境要因などとの関連を検討した結果を発表した”
“エコチル調査は、胎児期から小児期にかけての化学物質ばく露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、2010年度から全国で約10万組の親子を対象として環境省が開始した出生コホート調査”
“日本人小児の血圧についての大規模なデータはなかった。そこで同研究では、日本人幼児の血圧値と、体格、基礎疾患、環境要因などとの関連を検討した”
“2歳時点では、男児であること、親が現在喫煙していること、4歳時点では、母の妊娠高血圧の既往、親が現在喫煙していること、母または父の学歴(高等学校卒以下であること)が収縮期血圧の高さに関連していた”
“喫煙の影響についてさらに調査するため、両親喫煙なし、片方が喫煙あり、両親が喫煙の3つの群で解析。この結果、両親喫煙群では2歳、4歳時点での収縮期血圧が……高値であることがわかった”
“受動喫煙や肥満は幼児期の血圧の高値に関連しており、将来の高血圧につながる可能性が示唆された”
「コホート研究」とは、長年かけて“追跡調査”を行なった、精度の高い調査のことです。
つまり、普通の調査、今の人の状態を調べるだけだと、例えば喫煙者の家庭に健康被害者が多い、という結果が出ても、受動喫煙以外の原因があった人もいるかもしれない、という正確さにかける面があるのですが、それを極力なくした、時間をかけた調査のことです。(タバコ問題の論説でよく出てくるので、おぼえておくといいですよ)
コホート研究=『コトバンク』=
なお、今回の研究では、「受動喫煙の程度を、両親の喫煙の有無のみで判定しており、1日の受動喫煙の長さや期間では判定していない」とのこと。これはおそらく、親が喫煙者でも子どもの前では吸わず、吸って長時間たってから帰ってくるような受動喫煙がまだ少ない家庭もいるでしょうし、逆に親が吸わなくても、祖父母の家とかで受動喫煙にあっているとか、いろいろあるかもしれないが、今回はそこまで調べていない、ということのようです。
まあ親が喫煙していたらたいてい受動喫煙はありますが、さらに「受動喫煙の量」も調べていく必要はあるということでしょう。
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
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