マンションで受動喫煙と火災も発生、元喫煙者が疑われた「悲劇」…?
こういう話もあるのですね。
マンション「バルコニーの喫煙トラブル」に巻き込まれた40代夫婦を待っていた「悲劇」
=『現代ビジネス』2021.08.25=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“都内の中高層マンションに住む中岸幹雄さん(仮名、45歳)……換気のため窓を開けていたところ、タバコの臭いがしてきた。「近隣に吸う人がいるのだな」と思い、すぐに窓を閉めた”
“中岸さん、数年前まで超がつくほどのヘビースモーカーだった。1日2箱を吸うのは当たり前で、現在のマンションでも、禁煙前はいわゆる「ホタル族」で、ベランダで毎日吸っていた。……近年、喫煙できる場所が少なくなり、会社の喫煙所もついに全面撤去され……禁煙にチャレンジ。病院通いの甲斐もあってか、無事成功して現在に至っている”
“タバコの臭いが気になりだしてから2週間ほどたったある日……郵便ポストに、「バルコニーでの禁煙ご協力のお願い」という紙が……「タバコの煙によるクレームが管理組合に寄せられています。バルコニーで吸う際は他の住民にもこ配慮ください」と、協力を求めるお願い文が……掲示板にも同じ内容が張り出され、「自分以外にもタバコの煙が気になる人がいるんだな」と、中岸さんは改めて思った”
“バルコニーでの禁煙のお願い”(注:正しくは「ベランダ」のはず、屋根がないのがバルコニー)、としながら、「吸う際はこ配慮」と、矛盾していますね。
「配慮」などという具体性のない“お願い”では、受動喫煙がやむことはまずありませんが。
しかし、このあと理事会での検討の様子が続くのですが、私たちへの多くの相談者の話と比べれば、この理事会はよく動いているといえます。
“エントランス付近を歩いていたら、管理員さんから声をかけられた……
管理員 「……バルコニーからタバコの匂いを感じることはありますか?それとも、喫煙されていますか?」
中岸「いえ。吸ってないですが、何かあったんですか?」
管理員「そうですか…実は、中岸さん宅付近から煙がきて洗濯物に臭いが付く、窓を開けていたら煙が中に入ってくるという無記名の苦情が何件か寄せられていまして…」”“理事会ではこんなやりとりがされていた。
理事長「掲示板への掲示や全戸投函をして効果はありましたか?」
管理員「投函してすぐは効果があるようですが…時間が少し経つと、またクレームがあります」”“理事2「私の職場も全面禁煙になって、吸う人は肩身の狭い思いをしているようです」
理事長「まぁ、時代の流れですよね。マンションも禁煙にできませんか?」
フロント担当者「管理規約や使用細則を変更すればできます。管理規約だと特別決議になるので区分所有者及び議決権総数の各4分の3以上の同意が必要です。使用細則だと普通決議なので、出席組合員の過半数あれば変更できます」”
注意や掲示などをして、“一日、二日は受動喫煙がなくなったが、しばらくすると再発した”、という話は、当方でも本当によく聞く話です。
記事の続きは以下。
マンション「バルコニーで喫煙」を疑われた夫婦を待ち受けていた「ヤバい事態」
=(同上)=
“理事長「マンションで禁煙の決議をするには、総会の開催が必要ですよね?」
フロント担当者「はい。総会の開催か、書面決議といって全員の同意が得られれば」”“フロント担当者「それでは様子を見つつ、またご要望が多いようでしたら、お願い文の再投函やルール変更を検討することにしましょうか?」
……
管理員「あとタバコを吸っている心あたりがある居住者の方に個別に声掛けしてみましょうか?」
……
この一連のやりとりがあって、管理員さんから中岸さんへの声掛けがあったわけだ”“ある日、事件は起こった
マンションではそれに収まらない事態が……植込みにあったゴミくずから出火し、ボヤ騒ぎが起こった……火はすぐに消し止められたが、住民は騒然となった。
消防の調べによると、出火の原因は問題になっていた「タバコ」だという”“ボヤ騒ぎか、怖いな…中岸さんがそう思っていた矢先、廊下で良からぬ話を立ち聞いてしまう。
住民「私の旦那が理事をしているんだけど、もしかしたら、中岸さん宅が原因じゃないかっていう話になっていて…」
住民2「えっ、そうなの?なんで?」
住民「灰が落ちてボヤ騒ぎになった付近が、中岸さんのバルコニーの真下に近いから……」
……
住民3「私も聞いたことある!昔、エントランスに灰皿があったじゃない?」
……
住民3「中岸さん、そこでよく吸っててヘビースモーカーで有名だったって」”“騒ぎがあった日も自宅で仕事をしていたが……犯人扱いされていることにとても驚いたしショックだった。それに過去にはタバコを吸っていたが、数年前からは一切吸っていない……妻に廊下で聞いた話をした。妻もとてもショックを受けていた。……妻は子供の付き合いを通してそれなりに付き合いがある”
“1度受けた疑惑の目はなかなか晴れるものではない。中岸さん夫婦に直接、ボヤ騒ぎの話をする近隣住民はいなかったものの、あれ以来、中岸さんの妻には居住者からの視線が冷たく感じられた……妻はストレスからくる不眠になり、とうとう病院でうつ病と診断されてしまう”
お気の毒ではありますが、どうもこの反応、極端なようにも思えてしまいます。
たとえば、喫煙習慣があるかどうか禁煙外来などでの「コチニン検査」で確かめられます。そのような証拠や、管理会社や理事らに部屋に来てもらって臭わないこと・タバコや灰皿やライターなど喫煙用具がないことを確認してもらい、濡れ衣であることをおおやけにしてもらうということは、できなかったのでしょうか。それともそんな努力をしても無駄なほどの“閉鎖的社会”のマンションなのでしょうか。
記事の最後のほうを見てみましょう。
“成人男性の喫煙率は27.1%で、中岸さんと同じ40代が最も多く36.5%だという。実に40代男性の3人に一人が喫煙者だ”
“管理規約や使用細則でバルコニーは禁煙と明確になっているマンションはまだまだ少ない。また、マンションの構造にもよるが、誰がどこでタバコを吸っているか突き止めるのは、想像以上にむずかしい”
“ベランダで喫煙することは、他の居住者に対する不法行為になり、賠償責任を生じさせる場合があるものの、損害賠償額は極めて低く騒音などと同じく被害を立証するのが困難であるとも言われている”
“実際にタバコを吸っていた人はボヤ騒ぎの原因になったことすら、自覚がないのかも知れない。これはまさに「マンションハラスメント」ではないのか”
記事は、もしかしたら、濡れ衣を着せられた被害者の「悲劇」を強調し、喫煙者の詮索はやめるべきといった論旨になるなのかな……と心配して読みましたが、最後で、マンションの被害が厳然としてあることなどについて書かれていて安心しました。
この「マンションハラスメント」、なくすためには、受動喫煙発生の禁止への具体的な措置、そしてやはり完全禁煙化=自室内でも喫煙不可・入居者だけでなく敷地内立ち入りも非喫煙者限定=が、絶対に必要です。
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