まだ続く仕事中の“タバコ離席”は「職場の理不尽」……三次喫煙の被害はどうなるか?
前は報道がよくあり、改正法施行もあってかしばらく聞かないと思っていた、勤務中のタバコさぼり問題。
先日あげた記事 まだある“タバコ休憩”・仕事サボリは許せない! なぜ許されているの? に関連して、論説がありました。
2ページ目では受動喫煙(三次喫煙)もあげています。
仕事中のタバコ休憩はあり?なし?議論再沸騰の裏に「職場の理不尽」
=『DIAMONDO online(ダイヤモンド・オンライン)』2022.11.11 4:10=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“ツイートしたたばこ休憩に関する一言が多くの共感を集め、議論を引き起こしていた……顰蹙(ひんしゅく)を買う背景には、生産性よりも就業時間の長さをいまだに評価軸に置く職場の理不尽なルールへの反感もありそうだ”
“喫煙者だけに1時間に5分程度の「たばこ休憩」が暗黙のうちに許されるのはズルくないか”
“ 長年にわたって繰り返されてきた「たばこ休憩」議論が、またもネット上で勃発……きっかけは、10月31日に漫画家のやしろあずきさんが投稿したツイート……「タバコ休憩って文化が許されるのであれば10分程度何も考えずぼーっと好きな事できる休憩も許されていいだろ」と泣きながら叫ぶイラスト……そばには「1時間に1回ぐらいタバコ休憩行く人」が立っている……11月9日までに15.6万件のいいね、3.4万件のRTという大変な反響だ。それだけ共感を集め、「これについてはひとこと言いたい」人が多い”
“大別すると、「喫煙者への鬱憤」と「非喫煙者にも休憩を」とがあった”
“ズルく感じられるというだけではなく、戻ってきた際の臭いが気になるという投稿が見られた”
“ 副流煙という弊害が知られる前までは、たばこを吸いながら仕事をするのが当たり前……90年代までは、飛行機や電車内でもたばこが吸えたことを知らないZ世代も少なくないだろう”
“ 煙を吸いたくない非喫煙者の意見が強くなり、喫煙室が設けられるようになるとこれまでのように「デスクで仕事をしながらたばこをくわえる」ことができなくなった。すると今度は、たばこ休憩がけしからんと言われ始めるようになった”
“ 今回の万バズツイートに対する喫煙者の意見はあまりネット上で見つからないが、何をどう反論しても分が悪いとわかっているからなのだろう。ことほどさように、喫煙者への風当たりは強い”
冒頭文にもここにもまたある、“風当たりが強い”という語句は、どうも引っかかりますね……? まるで、“喫煙はたいして悪いことでもないのに、白い目で見られるようになった”という印象があります。
「正しく問題視されるようになった(いままで黙認・放置されていた問題が)」という意味にしてほしいように思います。
「たばこ休憩がけしからん」も、サボリなのだから当然のことです。職場を禁煙にするという時点で、「喫煙は、勤務時間外しかできなくなりますよ」としておけばよかったことです。そうしなかった事業所の失態が、職場全体に悪影響を与えていることが、社会問題化した、ということです。
記事はこの問題が生じる背景についての分析が続きます。
“統計的にも20代男性より30代、40代男性の喫煙率が高いのだが、喫煙者の中でも気軽にたばこ休憩をとりやすいのが新人よりもベテラン社員あるいは管理職に多い……面と向かっては言えない先輩や管理職に対する不満もこもっていそうだ”
“ スイーツ好きが1時間に5分〜10分のオヤツ休憩を取ることが許されないのに、喫煙者にはたばこ休憩が許される風潮。今回の議論は、そういった不均衡から始まっている。
そこで「オヤツ休憩が許されないのだからたばこ休憩もナシで!」とはならず、「たばこ休憩アリでいいから、オヤツ休憩も取ろう!みんな休もう!」という方向性の反応も見られた”
これは、“おやつ休憩がとりたい”という主張ではなく、「それならこっちはおやつ休憩どんどんとるよ。どう違うんだい?」という逆説的反論と思います。
住宅での受動喫煙被害者が、「ならこっちはベランダでクサヤの干物を焼いたり花火したりして煙や悪臭を出してもいいのか?」と、改善しない喫煙者や逃げる管理者によく言うことと一緒です。もし“おやつ休憩を欲しい人もいる”と見ていたらそれは勘違いです。
なぜなら、記事にもあげているように、喫煙から戻ってきた者からの三次喫煙もあるからです。
記事は、時間制でモノを見る会社に問題があると?
“就業時間ではなく生産性や効率に重きが置かれる評価軸であれば、たばこ休憩であれオヤツ休憩であれ、いくら休憩を取っても、とがめられることはないはず……たばこ休憩がたびたび議論の対象となり、多くの人の反応を引き出しているのは、いまだに日本の企業の多くが就業時間や周囲との協調性に評価軸を置いていることの表れ”
“ このたばこ休憩議論を見て、「そんなことはうちの会社では問題にならない」と思った人もいるのではないだろうか。それは社員を信頼し、その裁量に任せた融通の利く働き方がかなえられている企業だからかも”
この記事の“結論”に対しては、「三次喫煙はどうなのか」と聞きたいです。
「生産性や効率に重きが置かれる」職場でも、タバコ休憩があるなら、三次喫煙・受動喫煙を引き起こします。
三次喫煙も含めて「問題になっていない会社」とは、就業する前から帰りまでの喫煙を禁止(出勤前も昼休憩も喫煙禁止)としている、または喫煙者を雇わない、来客もタバコ臭い人はお断り、というところだけです。
そこまでしていないのに、「まったく問題がない」という会社は、三次喫煙被害の声を拾っていないだけでしょう。
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
「タバコ休憩」に不満の声〈2020年11月版〉 ’20年12月
職場の喫煙所の問題・喫煙者からの三次喫煙 = 健康企業による受動喫煙撲滅の啓発(引用その3) ’22年8月
“給料泥棒”だけでなく受動喫煙・三次喫煙も発生、仕事中の喫煙サボリのアンケート調査 ’20年3月
職場の喫煙者の割合は? ~ アンケート結果 ’21年10月
職場の“分煙” 喫煙者3割近くが「不十分」 ’22年3月