喫煙所を多数新設・1400万円で作っても違反者続出……、「喫煙所の提供で家賃がもらえる」千代田区を参考に? 大阪市の問題は

 市内すべてを「路上喫煙禁止」にすると決めた大阪市、(→末尾に過去記事リンク)
そのために喫煙所を大量に増やすということで、多くのメディアで報道されたり論じられたりしています。

 地元テレビの報道を紹介します。例によって囲みは記事の抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

 「1400万円の喫煙所」あっても外で吸う人が…2025年万博で『大阪市内全域の路上喫煙禁止』は可能?東京・千代田区の経験から見えるハードル
  =『MBSNEWS』22/11/10 14:00=

“万博に向けて大阪市が目指しているのが『市内全域での路上喫煙禁止』だ。その切り札となるのが1か所1400万円かかる公衆喫煙所”

“ (大阪市 松井一郎市長 今年3月)
 「世界的に受動喫煙が大きな問題となっており、万博の開催理念に照らせば、全市域で路上喫煙を禁止することが時代の要請でもあります」

“現在、御堂筋・梅田・難波など市内6つのエリアを路上喫煙禁止地区に指定し、違反者から1000円の過料を徴収……2025年1月に市内全ての路上を喫煙禁止に……その対策として最も重要視されているのが喫煙所の整備だ”

“ (大阪市環境局・まち美化担当 木村舞子課長 今年9月の大阪市路上喫煙対策委員会)
 「路上・公園・広場で(喫煙する)と回答された方について、そこで喫煙する理由を質問しました。回答として一番多いのは『近くに喫煙所がないからそこで吸っていた』というのが72.9%」

 その違反者を、条例や規則、または啓発活動でなくそう、とは考えないのですね。

 大阪市は、路上喫煙禁止のさきがけ、千代田区を参考にしていると続きますが……。

“大阪市が参考にしている都市が……東京都千代田区……2002年一部区域で路上喫煙を禁止したのを皮切りに……2010年には区内全域を禁煙にした”

“ 千代田区には公衆の喫煙所が現在74か所あるが、実はその9割以上は区が民間にお金を出して運営してもらっている……初期費用については700万円を上限に区が全額を補助。さらに年間264万円を上限にテナント賃料の全額と清掃費用など諸経費の8割を負担”

区の補助で店の一部を『喫煙所に改装』したカメラ店
 千代田区内に店を構えるカメラ店……店の一角に喫煙所が設置……6年前に約400万円の補助を受けて店の一部を喫煙所に改装……「(店を)直す前は壁面に全部カメラの商品とかがあった。(Q喫煙所設置のきっかけは?)下火になるじゃないですかカメラ業界が。『そろそろカメラ店も終わりかな』と思った時に勧められて」……「メリット金銭的なものが一番。普通は民間に貸そうとすると厳しいスペースの大きさだしなかなか貸しづらいけど、喫煙所にすることで店の半分のスペースの家賃をもらえるから、そういう意味で黒字

 屋内に喫煙所を設けるのは、いまでは改正法でも条例でも違反になるのでは?

 さて大阪市のこれからは。

“支援によって着実に喫煙所の数を増やしてきた千代田区だが、大阪市が同じ方法で成功するかというと疑問符が”

“千代田区(面積:約11.7平方キロメートル)で人が活動する昼間の人口は約117万人。対して大阪市24区(面積:約225平方キロメートル)は約365万人とその差は3倍以上……千代田区が10年以上かけて増やしてきた喫煙所の3倍の数を大阪市は2年で整備しなければならない”

 単純すぎる単純計算です。10数年前と今とでは喫煙人口も、受動喫煙に対する意識も、それによっての喫煙者の喫煙形態も、違っています。
 つまり、喫煙所がないからといって路上で吸うような者は、今は少なくなっているのです。
 人口が3倍だからといって喫煙所を千代田区の3倍にする必要はないはずです(千代田区の喫煙所の数が正解とは限りませんし)。

 そして、ものすごくお金をかけて喫煙所を作っても、違反はあるという事実が。

1400万円かけて大阪市内に設置された喫煙所
……大阪市役所の目と鼻の先にある……堂島公園にはこれまで屋外型の喫煙所が設けられていた。しかし今年9月に公園内が路上喫煙禁止地区となったことに伴い、代わりに閉鎖型の喫煙所が設置……費用は基礎工事と喫煙室の費用で約1400万円

“喫煙所がそばにあるにもかかわらず、禁止された公園内でタバコを吸う人が……いたるところに喫煙禁止の貼り紙があるが、見向きもせず喫煙する人は後を絶たない。しばらくすると足元には吸い殻がいくつも残されていた”

“ なぜわざわざ外で吸うのか?……「あっち(喫煙所)で吸う時もあれば、あっちは人が多いので…。(Qきょう外で吸っていたのはなぜ?)涼しいですし、(喫煙所は)人が多かったりするので。あまり窮屈だとしんどい。息が詰まる。(Q路上で一切吸えなくなったら路上喫煙はゼロになると思う?)絶対にならないと思います”

“ 1400万円という莫大な費用をかけて喫煙所を設置しても、変わらない喫煙者のマナー意識……松井市長は……「場所さえ決まれば建設期間は非常に短時間でやれるので、(喫煙所整備は)十分間に合うと思っています。吸う人も吸わない人も共存できるエリアを目指していきたいと思っています」”

[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
 路上喫煙禁止が本格化~大阪市 ’19年2月

 「路上喫煙」が全ての場所で禁止になります ~ 大阪市 ’22年3月

 大阪の受動喫煙防止条例、注目すべき点? ’22年5月

 大阪は路上喫煙・歩きタバコが多い? なんでやねん! ’22年5月

 路上喫煙の規制 東京と大阪の違い ’22年6月

 大阪市長が公用車で喫煙、同乗者に受動喫煙を強制 ’21年3月

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