喫煙所を「卒煙支援ブース」としたら、効果が…?
この名称、喫煙所の存在を美化し喫煙を擁護するためか……? と思いましたが、意外と良い効果があったようです。
喫煙所が「卒煙支援ブース」に?三木那由他さんが思う言い換えの本質「同じ意味なのに」で済まない〝政治性〟
=『withnews』(朝日新聞社)2023/11/10=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“大阪大学大学院で……教壇に立つ三木さん……言い換え語を意識する出来事が……
「大学の敷地内に設置されている喫煙所の名前が、『卒煙支援ブース』に変わったんです。でも設備の実態は同じ……」”“「卒煙」とは、あまり耳慣れない言葉かもしれません。
大辞林(第四版)によれば「俗に、タバコを吸う習慣をやめること」を指し、学校などの卒業になぞらえた言い方……分煙などの取り組みとともに広まりました”“「卒煙支援ブース」とは少々妙な言い回し……タバコを吸いに行く場所である喫煙所の性質に、根本的に反する……一方で三木さんは、呼び方の変更が利用者の心に起こす波紋に注目します。
「『卒煙支援ブース』と言われ始めて以降、喫煙所を使う学生から『タバコを吸うのが何となく後ろめたい』という声を聞くこともありました。『卒煙』の名を冠する場所で、それを実践しないのは不誠実に思える、と」”“「つまり呼び方が変わる前後で、どういう振る舞いが『あり』で、何を『なし』とするかの基準が切り替わってしまっている。名付けた人が目指していたことかどうか分かりませんが、そのような効果が生じているのは確かでしょう」”
なるほど、「喫煙所」という名称だと、
“どうぞ、ここで喫煙を”
という、喫煙を奨めるものとも思えたのが、
“卒煙支援の場所”とすることで、
“とりあえずここで吸ってもいいけど、いずれ卒煙するんだよ!”
という意味になった、そう思われた、ということでしょうか。
なお、大和浩教授は『STOP受動喫煙 新聞』の連載で、喫煙所を作るとしたら、人通りのない立地や煙の漏れがないなどの厳格な条件に加え、「喫煙所の中に、卒煙を支援する情報=禁煙啓発や禁煙外来など=を掲示するべき」と言っています(37号)。この大阪大学の「卒煙支援所」の中がどうなっているかわかりませんが、名前の変更だけでなく、さらに啓発の情報もあるとよいでしょう。
画像は東京、喫煙者が割高になる商品を扱っている保険会社の喫煙室(2014年)
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