「強まる嫌煙社会」?連載開始 第一回は新幹線の禁煙化の賛否の声から ~ 意見募集も
「強まる嫌煙社会」という連載が大手紙で始まったそうです。
第一回は、マンション規約改正についていち早く書いてくれた記者(→末尾に記事リンク)による、新幹線の禁煙化に関連しての論説です。
とりあえず新幹線の続報として紹介しますが――、
しかしこの連載、この題からして、今後の内容が心配です(理由は後述)。
強まる嫌煙社会① ついに新幹線も全面禁煙 たばこ依存脱却の契機? 喫煙の自由奪う?
=『THE SANKEI NEWS(產經新聞)』2023/11/13 17:37 加納 裕子=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“国内すべての新幹線から喫煙ルームが消える……喫煙率の低下や健康志向の高まりなどが理由だという。かつては喫煙車両で着席しながら自由にたばこを吸えたことを考えると、隔世の感がある”
“ ネット上では……喫煙者の中には、「新幹線の喫煙ルームは煙が充満しており、喫煙者でも入るのをためらうほどだった」として、さほど問題はないとする人も。一方、喫煙できるという理由で飛行機でなく新幹線を選んでいたとし、「飛行機に切り替える」とする声も”
“ 非喫煙者の中には、「トイレで隠れて喫煙する人が出てくる」「喫煙目的でトイレに入る人が増えれば、本当にトイレを使いたい人が利用しにくくなる」と危惧する人も”
“国内では年間約1万5千人が受動喫煙によるがんや脳卒中などで死亡しているとの推計がある。たばこを吸わない女性の肺腺がんの37%は夫からの受動喫煙が原因だとする国立がん研究センターがん対策研究所などの研究成果もある”
“ 私は禁煙の場所が増えることで「たばこをやめようか」と考える人が1人でも2人でも現れるならば、禁煙エリアの拡大に賛成だ。それによって、喫煙者本人と周囲にいる何人もの命が守られるだろう”
“中には「車内での飲酒も禁止するべきだ」との意見もあった。確かに、アルコールの臭いで気分が悪くなる人もいるだろう。飲酒で人格が変わる人もいるという意味では、喫煙者よりも周囲に迷惑をかけるケースは多いかもしれない。
ただ、飲酒と喫煙の決定的な違いは、周囲の人の健康を害し、それが命に関わる重大な影響を与えるかどうかではないだろうか。たばこは、他の嗜好(しこう)品とは全く異質なものだ”
“今回のテーマを担当するのは…大阪社会部次長 加納裕子(かのう・ゆうこ) 同僚デスクから「たばこ嫌い」と誤解されるが、喫煙による肺気腫が悪化した人の壮絶な苦しみを取材で知り、問題意識を抱いた。禁煙の機会を逃してほしくないとの思いが強く、喫煙者に敵対心は全くない”
全体、特に後半は受動喫煙よりも喫煙の害の問題になっていましたね。
この連載、今後は別の記者が書くそうで、喫煙者が書く可能性があります。
意見募集もしています。
“ご意見はこちらまで
「世論(せろん)」と「輿論(よろん)」は近年同一の意味とされています。しかし、かつて、世論は世間の空気的な意見、輿論は議論を踏まえた人々の公的意見として使い分けられていました。本コーナーは、記者と読者のみなさんが賛否あるテーマについて紙上とサイトで議論を交わし、世論を輿論に昇華させていく場にしたいと思います。広く意見を募集します。意見はメールなどでお寄せください。
メール seronyoron@sankei.co.jp
X(旧ツイッター) @SankeiNews_WEST”
「嫌煙」は死語に
「強まる嫌煙社会」という題は、受動喫煙の被害者をバカにしているように感じます。
新幹線が禁煙化したのは、飲食店その他と同じで、そのほうが営業上、合理的だからと思います。
もちろんその背景には、“嫌煙”≒受動喫煙を嫌がる人(というより、しっかり意識する人)、が増えたからということ、喫煙者も減り、新幹線での受動喫煙・三次喫煙で乗車を控える人が多くなったから、ということがあるのですが。
そもそも「嫌煙」という語は、現代では死語にすべきです。
「受動喫煙は問題」という概念がなかった時代に、受動喫煙を避ける活動を発展させるために、活動者からこの語が考案されたころは、必要性のある表現だったと思います。
しかし現代では、社会的に「受動喫煙はとんでもないこと」と(いちおう)認識されています。好き嫌いの問題ではなく、ハラスメントであり暴力です。
いまさら「嫌煙」と言う語を強調したり、「強まる嫌煙」という題を使ったり、また、それに近い表現として行政などが「望まない受動喫煙」という語句を使うのも、“受動喫煙を嫌う人(望まない人)も、中には、いるから”“タバコを嫌うようなウルサイ人もいる”という、特例的なこと、軽いことと見下し、被害者を困った人たちであるかのように強調していると思います。
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