禁煙旅館、罰則をルール化 「おもてなし」とは何か? /「お客様は神様」の間違い
禁煙の旅館で客がタバコを吸ったうえ、宿に注意されネットにもあげられたことへの逆恨みと思える、旅館業サイトへの低評価の書き込みをしたという事件がありましたが、その続報です。
今までの記事
禁煙の旅館で喫煙犯が! 怒りの声をネットに 共感・応援多数 ’22年12月
禁煙の宿での違反喫煙、法的には? ’23年1月
禁煙旅館で違反した客が、逆恨みの投稿を…! ’23年1月
被害者の女将さんが、実名・顔出しで法律サイトの取材に答えています。
迷惑客の口コミに反論 客と対等な「おもてなし」、老舗旅館の女将の思い
=『弁護士ドットコムNEWS』2023年02月16日 17時00分=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“「おもてなし」文化は高く評価される一方で、「お客さまは神様」という考えにつながり、悪質クレーマーや迷惑客への対処を難しくする要因にもなってきた……対等な関係性の上で成り立つ「おもてなし」を実現するためには、どうすればいいのだろうか”
“西屋では館内の目立つ場所やホームページでも全館禁煙を周知している。だが、過去にも宿泊客が部屋で喫煙する迷惑行為を受けてきた……「SNSの発信を通じて、社会に旅館への迷惑行為について問題提起をしたいと考えました」”
“迷惑客に対し、旅館が声を上げることはこれまであまりなかった。日本ではサービス業全体に「顧客第一主義」の考え方が根強く、きつく注意をすることや、被害を公にすることは難しい環境にある。あまりに強いことをすると、SNSや口コミなどに書かれて、かえってマイナスになることもある。しかし、遠藤さんは思い切って発信した”
“旅館関係者やレンタカー、レンタルスペースの事業者らからも「同じく喫煙の被害にあった」という共感の声が寄せられた。応援や激励の声が大半だったが、一部からは「SNSでぼやいていないでさっさと賠償請求すればいいのに」「喫煙所をきちんと作ればいいのに」など批判もあった”
「さっさと賠償請求すれば」の声は、助言、応援とも取れるのではないかと思います。
“西屋では、SNS上で客が既に社会的な制裁を受けているとの考えから今回は損害賠償請求をしない考えだ。ただし、再発防止策として近く宿泊約款を改訂する。約款には喫煙を確認した場合には、物的被害の有無にかかわらず、清掃や修理などの費用を請求することを明記する”
“また、約款の抜粋をホームページに掲載し、予約段階で客が宿の方針を理解できるようにする……弁護士から「宿の方針に合う約款を作り、宿の評価を守るようにしたほうがいい」とアドバイスを受けた。他の宿泊事業者の参考にしてもらうため、約款のひな型を自社サイトに掲載する予定”
“「今後は理不尽な要求や迷惑行為に対し、冷静で穏やかさを保ちつつも毅然とした態度で臨みます。SNS上で直接的な表現で発信したことの反省も生かしたい」(遠藤さん)”
“遠藤さんは「旅館は基本的にお客さんを選ぶことはできません。選べないからこそ、宿が大事にすることを情報発信することで、西屋の考えに共感するお客さんに〝選ばせる〟宿にしたい」”
“SNSでの発信は、全面禁煙という西屋の姿勢を明確に打ち出したことで、宿のブランディング(機構サイト注:企業の方針の広報)にもつながった。「ぜんそくでタバコの煙がだめなので、この旅館なら安心して泊まれると思いました。春になったら行ってみたいです」というメールも”
“遠藤さんはおもてなしとサービスは別のものだと考えている……「モノを売る商売と違い、サービスは目に見えないので分かりにくいですが、無料ではありません」”
“旅館・ホテルのマネジメントを研究する、九州産業大学の森下俊一郎准教授は「おもてなしは一律なものではなく、それぞれの旅館の考え方があっていい。各旅館が情報発信し、その価値を理解する客が利用してこそ、過度ではないおもてなしが生まれるのだと思います」”
“茶道を源流とするおもてなしは……「主客対等」の上に成り立つ。真の主客対等を目指すため、宿の方針を明確にした西屋のケースから学ぶべき点は多い”
“日本人と外国人の口コミを比較分析した場合、日本人は、滞在中は何も不満を言わないにも関わらず、後日になってから口コミで辛辣な批判や不満をこぼす傾向があるため、「察してほしいという国民性が強い」という”
なお、おかみさんは旅館サイトの’22年最後のブログで、先の記事にある内容など、今回の経過についてまとめていますのでご参考まで。
振り返り、そして再び航海へ=「若女将エッセー」2022/12/31=(以下ごく一部抜粋)
“全館禁煙決定(2020年3月)以降、客室でタバコを吸われたという
ケースはこれが初めてではありません。実は、今から2年半位前にも
「部屋に残された空き缶に吸い殻が突っ込んであった!!!」と、
写真も添えて同じような怒ツイートをしたことがありました。しかし、その時は見事にスルー……
ところが今回です。全く逆の現象が起きました。
何がきっかけだったのか、いまだによく分かりません”“Twitterだけでなくメールや電話でも、非常に多くの
ご意見やご感想が寄せられました。有難いことに、殆どが
共感や激励のメッセージを送ってきてくださった方でした。
前代未聞の出来事に内心戸惑っておりましたので、
温かい言葉の数々に本当に励まされました”“一方で…
「SNSでぼやいていないでさっさと賠償請求すればいいのに」
「お客様の口コミにそんな返信を書く女将など旅館経営の
資格がない」「喫煙所をきちんと作ればいいのに、喫煙者だけ
他所へ行けと爪弾きするなどサービス業にあるまじき傲慢さ」
「女将の品格を疑う」等々…手厳しいご意見のほか、
明らかな誹謗中傷も散見されました”
的外れな“陰口”非難をして悦に入っている人格障害者は、こんな正当な主張に対しても出てくるんですね。
「お客様は神様」の大誤解
そもそも、「お客様は神様」という表現は、それが広まるきっかけとなった歌手の発言では、まったく違う意図だったことをご存じでしょうか。
検索するといろいろ出てきますが、同様の客商売として飲食業サイトの記述を見てみましょう。
「お客様は神様です」の正しい意味と由来とは?クレーマー客への対応を学ぶ
=『食ジョブコラム』投稿日2019年8月2日(金)最終更新日:2022年9月3日(土)=
“お客様は、神様のようなありがたい存在と思っている方は誤りです。お店よりも上の立場で、神様のように扱われるべきという考え方は、本来の意味ではありません。
しかし「お客様は神様」という言葉が誤解されて、飲食店におけるクレーム問題の引き金にもなっています”
“「お客様は神様」という言葉には、お客様を歌によって、芸によって歓ばせたい想いが込められているそうです。そのためには余計な考えを捨てて、真っ白な心にしなければなりません。それは、まるで神様に祈るときと同じような姿勢です。
このような意味で、三波春夫さんは「お客様は神様」という発言をしました……「おもてなし」の精神をわかりやすく言い表した表現ではないでしょうか”
“「お客様は神様」はエンタテインメント業界ではなく、顧客サービスの分野に広く浸透していきました……飲食店などのサービス業界では接客での心構えを教育する際の標語として用いられるようにもなりました。
しかし、この言葉に込められた本来のメッセージを誤解して、お客様は神様のように扱われるべき存在である、というニュアンスで使う人が出てきたのです。この結果、悪質なクレームをつける顧客が増えてしまうという問題も起こっています”
“横行する悪質クレーマーは「お客様は神様」を悪用する”
”お客様は神様”の勘違いは恥ずかしい。本当の意味、マナーを知ろう
=『チクログ』2018.09.30=
“マナーを守っているお客様が大前提で生まれた言葉です。
マナーを守れるお客様=神様
お客という立場であれば、横柄な行いが許されるというわけではありません”
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
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