「喫煙室のある禁煙店」は成功していない
禁煙店が増えた中、多少は規模の大きいチェーン店などには、「全席禁煙」としながら、「喫煙可能室あり」と貼っているところも見かけるようになりました。つまり、喫煙席と禁煙席があった以前の“分煙”形式が改正健康増進法で認められなくなってからの、喫煙者も客としてとりこもうという、今の“分煙”措置の店です。
しかし、そのような店は、結局、客入りがよくない、という、論理的・客観的な論説がありました。
「喫煙者も非喫煙者も満足できるのでは?」…〈禁煙にして喫煙ルームを設けた〉飲食店。結果、“両者から支持されなかった”ワケ
=『THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン)』2023.9.11=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“お客様に直接、話を聞かないとわからないことは仕事の中にいくらでもあります。たとえば、飲食店などの「喫煙ルーム」の話があります”
“全面禁煙にすると売上が減ってしまうと考えたお店の中には、小さな喫煙ルームを設けるところがありました。そうすれば、喫煙者にとっても、非喫煙者にとっても、満足できる……ところが、非喫煙者に聞けば、喫煙ルームから帰ってきた人は、体や服に臭いがついていて気分が悪くなるから、選ぶなら完全禁煙のお店を選ぶ。喫煙者にとってみれば、わざわざ吸いたいときに喫煙ルームに行くのが面倒だし、コーヒーやお酒などを飲みながらタバコを吸うことができない。だから非喫煙者と一緒でなければ、喫煙席のあるお店を選ぶ。結局、禁煙にして喫煙ルームを設けた飲食店は、思ったように上手くいかなかったところが多いと聞きます”
“推定だけで物事を判断せず、事前に、何度もお店に来てくれているお客様の意見を聞けば、どうするのが正解だったのかの答えは明白だったはずです。簡単な手間を省いたために、多くのお客様を失ってしまう結果となったのです”
なるほど良い論説ですが、少なくとも私の、現状を見ての印象からは、少し意外に思いました。改正法の施行後の、そのような「喫煙室を設けた、飲食席は全席禁煙の店」はよく見かけますが、その後にその形式をやめた店、つまりその喫煙室を廃止して完全禁煙になったという店や、逆に全席喫煙可能に戻ったという例、またはつぶれた例を、今のところ見たり聞いたりしておらず、どこも続いているからです(喫煙室を設けずに禁煙化した店が、喫煙店に戻った例は’20年の施行後、半年くらいでよく見ましたが)。なので、そんな喫煙室“分煙”店もそれなりに客入りはあるのだろうと、私は思っていたのです。
私は禁煙店しか入らないことはもちろんですが、そのような喫煙室がある店(席から離れていても)、また店頭などどこかに灰皿がある店も、メニューなどがどんなに良さそうでも、そこしか店がない場合でも、基本、行かないことにしています。しかし世間では、多少タバコが嫌いでもそこまでこだわらない人のほうが多く、「喫煙室ありの禁煙店」は、喫煙者と吸わない人が混在するグループとか、飲食席は禁煙であってほしい喫煙者とかに需要があるのだろう、と想像していたのです。
しかし実際は、この記事の考察が正しいのであれば、店には一人で行く人、グループでも喫煙者と吸わない人の混在なしが多いということでしょうか。
本当であれば、この流れは良いことと思います。
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