魚を大量死させた水族館の吸いガラ犯、法的責任を問えるか
先日の、水族館で水槽に吸いガラを入れられ、魚がほぼ全滅したというひどい事件=魚が大量死(ほぼ全滅)! 水族館でタバコを投げ入れた犯罪行為発生 = 京都=について、法的に検証する記事が出ました。
タバコのポイ捨てで、屋外展示の魚が大量死…犯人は動物愛護法違反に問えるか、損害賠償は請求できるか【弁護士が解説】
=『まいどなニュース』2023.08.08(Tue)=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“タバコに含まれるニコチンは極めて毒性が強く、しかも水溶性でもあり、ポイ捨てされた水槽内の魚に毒素が回ってしまったための大量死だと推測されています”
“しかし残念ながら、タバコをポイ捨てして魚を死滅させても、動物愛護法違反に問うことはできません。
なぜなら、動物愛護法44条は「愛護動物」を殺傷した場合に適用されるところ、魚は「愛護動物」に含まれていないためです……犬猫や、飼育されている哺乳類、鳥類、爬虫類であれば……例えばわざと地域猫や人に飼われている文鳥・ハムスターなどにタバコを食べさせて殺傷すれば、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」という重刑が科される可能性があります”
“「愛護動物」に該当しないペット、例えば魚や昆虫などを殺傷された場合、刑法261条の器物損壊罪が問題になります……しかし処罰法規の適用には様々な高いハードルが”
“外飼いのペットは誰かが四六時中見張っているわけではありません……結果、犯人を特定できる証拠がないことが往々にしてあり……犯人が見つからなければ「お蔵入り」となってしまいます”
それで、屋外展示を休止したのですね。ひどい現実です。
では、特定できたとしたらどうなるか。また民事の損害賠償については。
“器物損壊罪は故意犯ですので、成立には犯人の故意が必要……水槽は教会前の駐車スペースの奥……歩行者がポイ捨てして届かせるには遠すぎる距離ですから、犯人はあえて水槽にタバコを捨てたと考えられます。そして現場には「CHURCH AQUARIUM」と表示がされており、魚を模した飾りも……このような掲示があれば、水槽内に魚がいることも認識できたでしょう。そうすると、「水槽に魚がいるとは気づかずにポイ捨てした」と犯人が主張しても通らないのではないかと思われます”
“教会側は、犯人に対し、民事上の責任として、魚を殺されてしまったことにより生じた損害を賠償するよう請求することもできます。
もっとも……鯉や金魚、フナで、いずれも稚魚から育てたり飼育放棄されたものを引き取ってきたものということですから、損害額は認められたとしても低額にとどまってしまう”“展示を継続するのであれば水槽の消毒費用や買換費用、再発防止の防犯費用などが認められる可能性はある……有料の水族館であったならば、閉鎖期間中の利益相当額なども賠償の範囲に含まれるでしょう”
“慰謝料については……「物損に慰謝料は原則として発生しない」という裁判の慣行を考えると、認められる可能性は低い”
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