「子どもに与える影響」「虫歯が増えるわけ」 三次喫煙・加熱式タバコも同様 歯学博士「社会全体で取り組んでいかなければならない課題」
子どもへの深刻な健康被害。以前に、受動喫煙で虫歯になるという研究結果の記事を紹介しましたが、(→末尾に過去の関連記事リンクを記載)
「歯学博士」がその連載で詳しく解説しています。連載9回目で能動喫煙について、11回と12回目で受動喫煙について言及しています。受動喫煙のほうを引用します。
受動喫煙が子どもに与える影響 虫歯になる可能性も/歯学博士・照山裕子「口の保健室」
=『日刊スポーツ』2023年8月15日8時0分=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“煙に含まれる化学物質がものすごいスピードで肺に到達し、そこから血液を通じて全身の臓器に運ばれるわけですから、一本吸う度に体をむしばんでしまうリスクを肝に銘じてください”
“能動喫煙の影響は広く認知される一方、たばこの先から出る副流煙の影響についてはまだまだ軽視されている”
“受動喫煙が口の中に与える悪影響の代表例は、成人における歯周病および歯の喪失と、小児のう蝕(虫歯)”
“2004~10年に生まれた7万6929人のデータを解析したところ、家族内に喫煙者がいる子どもが3歳までに虫歯になる可能性は1・46倍、目の前でたばこを吸う環境下にある場合は2・14倍にも高まることが、京都大学の研究チームから報告”
“社会全体で取り組んでいかなければならない課題です”
翌日も引き続き。
受動喫煙によって子どもの虫歯が増えるわけ/歯学博士・照山裕子「口の保健室」
=同 2023年8月16日8時0分=
“ニコチンが虫歯の原因菌(ミュータンス菌)に作用すると菌が歯に付着しやすくなることや、菌自体の数を増加させるために歯を溶かす酸性物質が増えることなど、これまでにさまざまな仕組みが解明……たばこの煙には免疫を抑制する性質が……こうしたメカニズムから、受動喫煙の影響を受けた子どもは虫歯を発症するリスクが高い”
“距離が離れたベランダや換気扇の下で喫煙したとしても、喫煙者の呼気(吐き出す息)には常に有害成分が含まれ……髪の毛や着ている服に付着したものが屋内に充満する「三次喫煙」にも注意が必要”
“副流煙の出ない加熱式タバコであっても、この影響は全く変わりません”
“SIDS(乳幼児突然死症候群)やぜんそくは受動喫煙との因果関係が確実とされていますが、呼吸機能の低下や中耳炎、せきやたん、息切れなどにも関与している可能性が高いことがわかってきました”
“妊婦さん本人の喫煙はいわずもがな、周囲の人の喫煙によっても低体重児出産や早産のリスクは上昇します。生まれる前から環境を整えておくことが、健やかな子どもを育てる最善策といえます”
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
「妊娠中の受動喫煙」で産まれてくる子は虫歯に ’19年10月
受動喫煙で虫歯になることが明らかに ~ 岡山大学調査 ’20年12月
受動喫煙で虫歯 ~ 歯科医師の論説 ’21年1月
受動喫煙で目が悪くなります=失明の危険も ’20年6月
受動喫煙は視覚を悪くし、子どもの発育に悪影響 ~ 健康企業による受動喫煙撲滅の啓発 ’23年3月
タバコで耳も悪くなります ’22年7月
親の喫煙は子どもに危険!「情緒面にも」=多くの研究で明らかに ’19年5月
困った、実家での受動喫煙 ’20年5月