住宅の受動喫煙撲滅、条例化に向け、議員が質問 = 兵庫県明石市

 自身のマンションの管理規約に、自室内の喫煙であろうと「近隣への受動喫煙は禁止」を追加させ、隣人からの受動喫煙を激減させた、兵庫県の女性の事例は、『STOP受動喫煙 新聞』他マスコミでも取り上げられ話題になりました。(→末尾に過去の記事リンクを記載。)

 女性はその後も、あらゆる方面に働きかけ、地元の県議と市議にも協力を求めました。そして、県や市でもマンション規約と同様の「住宅での受動喫煙の禁止」を条例にすべく、話を持ちかけたのです。
 すると、自宅まで来てよく話を聞いてくれて、市議が市議会で質問する、ということになりました。

 住宅の受動喫煙禁止の条例は、成立すれば全国初の画期的な法令となります。

 そこで、その議員らが日本維新の会の人だったので、同じ維新で条例化の先駆者・当機構理事の松沢成文参議院議員にも協力してもらえないかと、機構に相談。お願いしたところ、議会開催の前にリモート会議で打ち合わせを行うことになり、県議・市議・松沢議員・女性と、さらに受動喫煙に詳しく都議経験者である岡本光樹弁護士にも参加してもらい、意見をかわし市議を応援してくれました。

 ’23年9月12日(火)、議会質問が行われ、その録画が後日公開されました。
 令和 5年第3回定例会【9月議会】( 9月12日) 上田 雅彦(明石維新の会)
 (明石市議会インターネット中継

 以下は質問の概要。

3 あかし保健所所管の問題について

(1) 集合住宅における受動喫煙について
(要旨)2020年に改正健康増進法が施行され、町なか等での受動喫煙対策はかなり進んできているように思えるが、本市における集合住宅での受動喫煙対策について、見解と今後の方針をお聞きしたい。
(2) 実態調査について
(要旨)今までに集合住宅における受動喫煙に関しての実態調査は実施されたことがあるのか。もし、ないのであれば、今後の実施の可能性について見解をお聞きしたい。

 質疑応答の文字起こしを下のほうに示しますが、各質問と答弁の開始時間を以下に示します。
 5:10から「あかし保健所所管の問題について」の議員の質問に入り、5:20からその質問が始まります(受動喫煙の質問は7:00まで)。
 23:50からこれへの市の答弁、保健部長があいさつして24:00から受動喫煙の一般論や行政の今までの取り組みのありきたりの説明。質問への回答はようやく25:10から始まり27:35まで。
 37:10から議員の再質問が、市長に対して。
 38:00から市長の回答、38:52まで。再度の議員質問がそれに続いて簡単に。

 回答はありきたりで、条例化はまだ先の先と思えますが、まずは第一歩として。

 傍聴もした女性による文字起こし(要旨)を以下に示します。文中の太字化は当機構がしたものです。

上田市議
3項目目、明石保健所所管の問題について4点うかがいたい。

1点目は、集合住宅の受動喫煙について認識を問うもの。
2020年に改正健康増進法が施行され、街なかでの受動喫煙対策はかなり進んできたように思う。
先日の『広報あかし』にも「受動喫煙防止」の啓発記事を載せていた。
しかし、集合住宅における受動喫煙についてはどうか。
朝、新鮮な空気を取り入れようとベランダを開けたら、どこかからタバコの煙が入って来る…。
1日の始まりがこんな気分の滅入ることで始まる、そんなことを想像してみてほしい。
そこには子どもさんや喘息など持病を持った方もいらっしゃるかもしれない。
そういった集合住宅での受動喫煙対策について、本市の見解今後の方針を聞かせて欲しい。

2点目は、今までに、集合住宅での受動喫煙に関して実体把握調査をしたことはあるか。
集合住宅で受動喫煙に困っている方は多いと推測されるが、
近隣住民との関係性の中でなかなか声を上げられない方々の声を拾い上げるという意味でも、
実態把調査が必要と考える。
今後の実施の可能性についての見解を聞きたい。

瀧(たき)保健部長の答弁
タバコの煙には5000種類の化学物質が含まれており、そのうち約70種類は発がん性物質とされている。
主流煙より副流煙の方が多量の有害物質を含むとされており、
望まない受動喫煙を防止することは大変重要と認識。
国では受動喫煙対策として、2020年4月に屋内を原則禁煙とする改正健康増進法を全面施行し、
兵庫県でも、健康被害の影響がより懸念される20歳未満の人や妊婦に対する規制を上乗せした条例が施行された。
本市ではこれらの法律、条例に基づき、市民や事業者に対して、受動喫煙の防止に向けた周知啓発や指導を行っている。

質問の集合住宅の受動喫煙対策については、居室内やベランダ等のプライベート空間については、県条例一部規制があるが、原則規制の対象外。そのような中、本市では相談を受けた際には、困っている人がいることを認識してもらう掲示や回覧に使える「喫煙に配慮を求める」チラシやポスターを作成して渡している
集合住宅に限らず、市民から寄せられる相談や意見については、職員直接現地の状況を確認し、店舗や事業者へ、灰皿の撤去や喫煙場所の移動、ポスター掲示の依頼など、状況に合わせた対策に取り組んでいる
加えて周知啓発として、小中学校などの敷地内、および学校周辺での禁煙周知のポスターの掲示、山陽電鉄の駅へのポスター掲示や協力体制の構築、6月の禁煙週間には、イオン明石でタバコの害についてのパネル展示やクイズイベントを行った。
引き続き企業などとも連携しながら、広く周知啓発に努めていく。

2点目の実態調査については、プライベート空間等は、法律や兵庫県の条例の原則規制対象外のため、行政として介入が難しい問題であることから、これまで調査の実績はない
今後も周知啓発を進めていき、禁煙相談や禁煙外来実施医療機関の紹介など、禁煙を後押しする取り組みを通して、様々な角度から受動喫煙防止に取り組んでいきたい。

上田市議の再質問
条例は難しいと理解しているが、半歩でも突っ込んだ形で、例えば明石市として「受動喫煙被害撲滅都市宣言」などできないか。かつて議員時代に、香りの害=「香害を無くす議員の会」の会員であったという立場から、市長の考えを聞きたい。

丸谷市長の答弁
「都市宣言」をしても、現実として受動喫煙防止ができなければ意味がないと思える。
タバコの煙は化学物質過敏症の原因の一つでもあり、様々な健康被害をもたらす問題であると認識しているので、今後も国や県の動向も注視しながら、さらなる啓発も含めて、様々な角度から受動喫煙防止にしっかり取り組んで、市民の健康を守っていきたい。

上田市議
既に、受動喫煙で悩んでいる、困っている方にとっては喫緊の課題で、待ったなしの状況なので、ご理解いただいて、今後検討してほしい。

 市長は“香害”撲滅の活動もしているのですね。香害を無くす議員の会=日本消費者連盟=
 もっと前向き具体的な考えを示してもらいたいところです。  

 マンション規約改正の報道
 43号=’23年・夏号=発行 「マンションの受動喫煙を禁止とする規約成立」など役立つ情報を多数掲載 ~ 唯一の“受動喫煙問題”定期刊行紙『STOP受動喫煙 新聞』
 同号記事一覧→第43号–2023年・夏号(’23年7月)

 マンションで受動喫煙撲滅の規約が新たに! 自室も「近隣に受動喫煙被害を与えること」は禁止に ~ 兵庫県明石市 ’23年5月

 マンション“近隣に受動喫煙の被害を与えない”規約改訂が、再度大手紙で取り上げられました ’23年6月

 住宅の受動喫煙は「最後の聖域」 『産経』加納裕子記者論説 / 路上喫煙撲滅への意見公募を実施中=大阪市 ’23年8月

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