関西は違反の罰則も値切ってまっせ?
条例で路上喫煙禁止を実施している区域は多くありますが、違反者から徴収する罰則は、自治体によりあったりなかったり、あっても金額に違いがあります。その差に着目したおもしろい記事がありました。
路上喫煙の過料、関西は控えめ? 抑止と公平性に腐心 おカネ知って納得
=『日本經濟新聞』2022年4月16日 2:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“大阪市の松井一郎市長が3月、……市内全域で路上喫煙を禁止する方針を示した。市は現在、……6地域を「禁止地区」に指定。違反者に1000円の過料を科している。全域が規制対象に広がれば、路上喫煙を減らす効果も大きそうだ”
“禁止地区では市の指導員が巡回し、路上喫煙に対してはその場で過料の納付を求めている。徴収件数は20年度に約3200件と、全国の政令指定都市で最も多い”
“過料の金額だが、そもそもなぜ「1000円」なのだろう。大阪市の担当者に聞くと「実効性と公平性の観点で決め、なるべく支払いやすい額としています」と答えが”
“地方自治法では条例に違反した場合、5万円以下の過料を科すことが可能だ。だが、高すぎると違反者の反発を招き、指導員とのトラブルに発展したり、支払いを逃れようとしたりするケースも増えかねない”
“高額な過料を求める市民の声もあるが、支払い拒否が多くなれば不公平感も生じる。市担当者は「過料自体が目的ではない。徴収をきっかけに、より多くの人に路上喫煙をやめてもらうのが狙いだ」”
“カネをとるのが目的ではなく、抑止のため”とはどこの自治体も口をそろえて言うことです。
しかしその額に地域差があるのはなぜでしょう。記事はつづいて金額について言及しています。
“関西では神戸、京都、堺の各政令市も1000円で足並みがそろう……一方、全国で初めて過料を科した東京都千代田区をみると、金額は2000円と関西4政令市より高い”
“「食後のコーヒーを含めたランチ1食を1000円と想定し、過料を払った痛みを忘れないように2食分を目安にした」と区担当者。横浜やさいたま、千葉、名古屋など関東・中部の政令市も2000円が主流だ”
“関西は路上喫煙により寛容なのだろうか。それともランチが首都圏より安いから? そんな疑問も湧いたが、実際の徴収は千代田区は約3500件だが、政令市は名古屋約900件、千葉約300件などにとどまる”
“さいたま市や静岡市、相模原市などは適用例がない。指導に従い、たばこの火を消すなどすれば徴収しない……関西4市は火を消したとしても過料対象。金額は高くはないが徴収の姿勢は厳しい”
なるほど、千円の大阪市は、2千円の千葉市の10倍以上の件数、徴収しているのですね。
(徴収件数は、指導が厳しいかどうかより、指導員が出動した日数・時間・範囲・人数や、実際の違反者の多い少ないで差があるので、いちがいに言えませんが)
画像は2016年、横浜駅西口側で若い男の子に指導員が注意(たぶん徴収も)している光景。
当時はこのような指導員さんたちを毎週のようによく見かけましたが、さいきんは予算が削られたのか、めったに見なくなり、西口では違反者をまた見かけるようになってきています。
(’20年11月にその点を市担当部署に質問したのですが、“巡回は継続している”との回答でした。しかしその後もほとんど見ないままです)
記事の図によると、20の政令都市で、
2千円=さいたま 千葉市 横浜 川崎 相模原 静岡 名古屋
千円=札幌 新潟 京都 大阪 堺 神戸 広島 北九州 熊本
過料なし=仙台 浜松
その他=岡山 福岡(条例は「2万円以下」となっているが実際には徴収実績なし)
ということです。
これは政令都市という人口の多いところだけですから、小都市ではもっといろいろあるでしょう。
いずれ全国の一覧を作りたいものです。
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
「路上喫煙」が全ての場所で禁止になります ~ 大阪市 ’22年3月
「本当に実現できる?」 大阪“路上全面禁煙” ’22年4月
「徴収なし」でも、4カ月で80人以上の路上喫煙をやめさせています = 福島市 ’21年8月
路上喫煙で罰則を徴収した件数を公開 ~ 東京都千代田区 ’20年8月
横浜市は「喫煙禁止条例」で、罰則金を徴収しています ’18年7月
〈路上喫煙禁止〉違反は「即2000円徴収」条例が開始! ~ 千葉県船橋市 ’21年7月
“小さな街でも条例は効果的” 入院数減少・罰則なしでも有効 ’20年6月
路上喫煙「禁止」でなく「啓発」に? 効果は? = 京都 ’21年8月
6割超が受動喫煙被害に、その5割超が「路上」 ~ 都民調査、都条例と改正法の認知率は75.5% ’20年9月
加熱式タバコの路上喫煙に不快の声、しかし自治体によって規制が違う? ’21年12月