近隣住民による被害がある集合住宅は「引っ越し代」を請求できる場合も

 受動喫煙問題をたびたび取り上げているお金や生活に関する情報サイトで、こんな記事が出ました。

 例に受動喫煙をあげてはいませんが、「悪臭」はあげています。被害にあって苦情を訴えていても、管理側が何も解決できないでいるような集合住宅のかたは、この考えで話を進めてみてください。

 隣人の「迷惑行為」を大家さんに訴えていますが、何もしてくれません…「引っ越し代金」を請求できますか?
  =『FINANCIAL FIELD(ファイナンシャルフィールド)』2024.04.12=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“集合住宅には、生活スタイルや価値観異なる人が住んでいます。
そのため、住民間でトラブルになることもあるでしょう。
トラブルの原因は、騒音やゴミの出し方、悪臭、ルールを守らないなど……隣人の迷惑行為を貸主(大家)に訴えても動いてくれない場合、引っ越し代金を請求できる可能性はあるのか”

民法601条で貸主は、借り主から賃料を受け取るかわりに、賃貸物を使用収益させる義務がある……使用収益とは「ものを直接利用して利益および利便を得ること」……したがって、賃貸住宅の賃貸借契約を結んだ以上は、貸主には借り主が使用収益できるよう配慮する義務があるとされ……トラブルの訴えを放置することは、義務を果たしているとはいえない可能性があります”

“貸主は入居者にとって安全な住まいを提供する必要がある……貸主は、物件に破損や故障があれば修繕したり、不具合があれば借り主に伝えたりする必要があります”

 つまり、家主や管理会社などは、「安全な住まいを提供」する義務があるので、問題には対応しなくてはならない、ということです。
 私も、被害の相談者にはいつも、まず、「家賃を払っている“お客さま”である」「管理者は、管理する施設の問題を解決する義務がある」と言ってきましたが、法律で明文化されていたのです。

 では引っ越すことも考えた場合、請求の可能性は。

“迷惑行為についての訴えがあった場合、貸主はトラブルについて確認を行い、原因となっている住民へ注意喚起し、解決へと導く対処が必要”

“迷惑行為に対し、貸主が何も対応してくれなかったことで引っ越すことになった場合、引っ越し代金を請求できるか……貸主が使用収益や告知の義務を明らかに怠っている、あるいは迷惑行為により、借り主の生活に支障があると認められると、請求できる可能性がある”

“住民の訴えを聞いていたのに、適切な対処をしないなど貸主としての義務を果たしていないとされた場合は、それを理由に引っ越し代金を請求できるかもしれません”

“また、賃貸借契約書や規定において「快適な居住環境を提供すること」について明記されている場合、これを怠っているとして貸主の契約違反が認められる可能性が”

“ほか、貸主が隣人のする迷惑行為を知っていたのに、適切な対応を怠ったことで借り主が精神的苦痛を受けたり、生活に著しい支障をきたしたと認められたりした場合にも、請求できる可能性がある”

“ただし、こうした例は「限度を超えている」または「居住に適していない状態になっている」と認められる場合で……限度を超えているかは、どうしても引っ越さなければならないほどの被害なのか、などの事情を考慮して判断される”

“引っ越しを余儀なくされても、引っ越し代金の請求が認められるかどうかは、状況や事例、契約時の内容などにより変わってくる”

“引っ越す前に、自治体などが開設している相談窓口や法律相談などを利用して、専門家の意見を聞くことも一つの方法……その場合は隣人の迷惑行為と自分の対応(貸主への通知や対処を求めた記録など)の証拠を収集しておくと役に立つ”

 部屋がたびたびタバコの悪臭がただようような住居は、「快適な居住環境」とはいえず、「限度を超えて、精神的苦痛を強いられている」といえます。
 “たかがタバコ”というような姿勢は否定しましょう。

 引っ越すつもりはなくても、ろくに動いてくれない管理者に対して、そのような義務・法律があることを伝え、「では引っ越し代を出すのか」と迫ってみましょう。

 そもそも、自分が出ていくのも理不尽なので、「加害者に引っ越しさせろ」というのもよいでしょう。

 
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