健康増進法は「ザル法」 一転した万博、ユル過ぎの「喫煙目的店」「喫煙可能店」、など「政治の“本音”」

 いまだにユルイ日本の受動喫煙対策、法令について、名誉教授が論説をあげています。きびしい指摘の見出しですが、実にその通りです。

 国会議員が作った「ザル法」のせい…日本全国にある「喫煙目的店」「喫煙可能店」の杜撰な実態
 大阪・関西万博が”全面禁煙”をやめた背景
  =『PRESIDENT Online(プレジデント オンライン)』2025/07/17 8:00=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“万博が場内“全面禁煙”の方針を変更し、会場内にも喫煙所を設けた。日本女子大名誉教授の細川幸一さんは「“煙のない万博”を掲げてきた万博協会の方針転換の背景には、タバコをめぐる制度の抜け穴と政治の“本音”がある」という”

“開催されてほぼ2カ月が過ぎようとしている5月26日……“煙のない万博”の方針を突然変更……全面禁煙としている万博会場内にも喫煙所を整備するというのだ”

“違反があったからと言ってルールを守らせるのではなくルールを変えたのだ”

“当然、この決定に対して、禁煙推進団体は反発……タバコ問題情報センター代表理事・日本禁煙学会理事の渡辺文学氏は、「公の場では吸わないのが当たり前の社会になっている。万博は全面禁煙がベストだ」と訴えている(5月26日付神奈川新聞ほか)。「『いのち輝く未来社会のデザイン』というテーマに完全に逆行している」という考えだ”

“ 万博協会のパンフレットには、「会場内でタバコを吸うことはできません。タバコを吸う場合は、再入場の手続きを行った上で、東ゲート外側の喫煙所をご利用ください。」との記載があり……外に出て喫煙所を利用するように呼びかけてきた……ルールを守らない者がいるからと言って、ルールを変更することは許されないという考えを持つ人も多いだろう”

“厚労省の研究班や国立がん研究センターは喫煙による社会的損失4兆円~5.6兆円と推定……喫煙は社会的な経済損失であるとしている。この立場からすれば、不便であるとか、隠れて喫煙する者が後を絶たないからと言って場内禁煙の理念を捨てることは本末転倒

“ なぜこのような状況になったのか。日本では2020年の東京オリンピック(実際の開催は2021年)を契機に健康増進法改正され、屋内禁煙原則が一気に進んだ。しかし……未だ、成人男性の喫煙率は25.6%、成人女性の喫煙率は6.9%……すなわち、海外の状況を意識して煙のない社会を目指してはいるものの、本音ではタバコを吸わせろタバコ産業を潰すなという声が政治的にも無視できないのではないだろうか。そしてたびたび国会議員に喫煙者が多いことが話題になっている”

“健康増進法は公共施設などの第一種施設と民間の商業施設などの第二種施設に加えて、シガーバーなどの喫煙目的施設というカテゴリーを作った。ところが、さらに第二種施設の中に経過措置として特例で喫煙可能店を作ってしまった。非常に分かりにくくメディアすら混同が見られる”

“ 興味深いのは官庁県庁役場などは第一種施設なのに国会関連施設は第二種施設であることだ。例えば、衆参の議員会館にはフロアごとに喫煙室があることが知られている。第一種施設なら屋内喫煙室設置はあり得ない(屋外に設置することは条件により可)。健康増進法を作った立法府である国会が自らに甘い対応をしているのだ”

“健康増進法第28条に第一種施設の定義があるが、そこに以下の一文がある。

「国及び地方公共団体の行政機関の庁舎(行政機関がその事務を処理するために使用する施設に限る。)」

 音喜多駿参議院議員(当時)は「『第二種施設』というのは本来はホテルなどが想定されていたのに、『行政機関の庁舎』にわざわざ『その事務を処理するために使用する施設に限る』という注釈をつけて、国会や地方議会などの議決機関は別(第二種)だという法律内容にしたわけですね。」……と述べている

“ 2020年9月9日に「国際基準のタバコ対策を推進する議員連盟」は尾辻秀久会長、松沢成文幹事長名で参議院山東昭子議長あてに「議員会館事務所における違法喫煙への対応の申し入れ」を行っている。喫煙室以外の自室等で喫煙する議員がいることを問題視したうえで、「……司法機関と行政機関の施設が法の下に敷地内禁煙とする状況において、立法機関だけを例外とすることは議員特権との批判を免れません。国会議事堂と議員会館も敷地内禁煙として運用すべきです」とした(裁判所も法律上第二種施設だが自主的に対策を強化している)”

“ このように煙のない社会を表向きは目指しながら、分煙でよいという態度は第二種施設でいろいろな課題を内在している”

 当機構理事の松沢成文議員らのその申し入れの報道まとめは以下。
 国会の法律違反喫煙に、厳正な申し入れが行われました ’20年9月

 そして、飲食店の問題。

“ 筆者が問題と思うのは飲食店における喫煙問題だ。前述の「喫煙目的店」と「喫煙可能店」についての運用がルーズで「法の抜け穴」に映る”

“「喫煙目的店」とは特定飲食提供施設とされ、タバコを吸うこと自体が営業目的とされている店舗だ。要件は以下だ(すべての条件を満たす必要がある)。

 ① 設備 加熱式たばこ・紙巻きたばこが吸える喫煙専用室または店内全体が喫煙可
 ② 顧客 20歳未満の入店禁止(従業員も含む)
 ③ 形態 喫煙を主目的(葉巻バー、シガーバーなど)とし、タバコの販売を行う。したがって主食は提供できない
 ④ 表示義務 「喫煙目的店」との標識を店頭に掲示

 重要なのは③だ。これは喫煙を目的としたシガーバーなどを想定して例外的に喫煙を認めたものなのだが……普通の喫茶店や居酒屋が喫煙目的店として営業しているのが目立つ……喫煙目的店となれば分煙すら必要がないのだ

“ 主食を提供しないことも喫煙を主目的とする「喫煙目的店」としての要件であるはずなのだが、ごはんや麺類を提供している店舗も目に付く……厚労省は自治体の保健所の判断だといい、自治体に取材すると厚労省の規定があいまいで指導できないという”

 「喫煙目的店」の条件の「タバコ販売」に補足しますと、「タバコを対面で販売すること」です。つまり自販機は不可、しかし販売免許を取らなくても近所のタバコ店と話を付けて出張販売しているという形式(名目)をすればOKとなっています。そしてこれも、実際には販売を全くしていない「目的店」がたくさんあります。

 次に「可能店」の問題。

“ もう一つの例外は「喫煙可能店」だ。あくまで通常の飲食店だが、一定の要件を満たすことで喫煙が許容される「経過措置的」な店舗だ。要件は下記の通りだ。

 ① 経営規模 資本金5000万円以下の中小企業が経営
 ② 店舗面積 客席面積100m2以下(一部自治体により異なる)
 ③ 開業時期 2020年4月1日以前開業
 ④ 喫煙可範囲 店内全体または一部が「喫煙可能室」
 ⑤ 顧客 20歳未満は立ち入り禁止(標識掲示義務あり)
 ⑥ 表示義務 「喫煙可能店」などの標識が必要

“ 銀座にも喫煙可能店が……平日は喫煙可能店、土日祭日は禁煙……確認してみたが、なんと平日の喫煙可能時間でも、「店内は煙たいですが、子どもも入店できます」という回答だった。明らかに健康増進法違反だ”

“ 喫煙可能店は経過措置として定められたものだが、健康増進法で定められてから5年が経過するのに経過措置を終了する気配がいまのところない。健康増進法附則7条は施行5年後に同法の規定の検討と、必要な経過措置を定めている。このまま国が何もしなければ、経過措置と言いながら永久に続くことになる”

“東京都や大阪市など独自の条例を持っている自治体もあるが、国としての飲食店の対策はかなり甘い”

“分煙を進めながらの対応になることは理解できるが、法の抜け穴と言えるような状況が放置されている”

“タバコの健康被害は明らかであり、こうした店舗の存在自体が新たな喫煙者の増大、タバコを止められない者を増やしている側面がある”

“オリンピックを契機に健康増進法が改正され、受動喫煙をなくすことが基本方針だが、最終的には屋内禁煙の環境整備を目的とし、現実的な移行策として段階的な分煙から禁煙へ進めていく形となっている。しかし、分煙でよしとする政治勢力も大きい。少なくとも脱法行為や規制のあいまいさに付け込んだ対応は許されない。この問題は引き続き注視が必要だ”

[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓やカテゴリーで引いてみてください。
 飲食店が喫煙営業できる“抜け道” 改正法は“ザル法” ’20年4月

 社説:被害を広げる“抜け穴”をふさげ! ゆるすぎの改正健康増進法、喫緊の見直しを正しくすべき! ’25年4月

 万博「一転」して喫煙所を多数増設! 設置しないとした「場内」や爆発の危険の場所にも! 違反を放置、テーマ逸脱、受動喫煙を増やすことに ’25年5月

 国会に喫煙所が83! 「臭い、不快」「密で危険」副代表議員が苦言 ’21年2月

 法令違反の「全面喫煙可」営業・「喫煙目的店」が多発! 国のあいまいな判断に東京都が抗議! ’23年9月

 条件を満たさず「喫煙目的店」とする違法営業 ~ 石田記者論説・弁護士見解 ’24年12月

 厚労省が啓発マンガを公開 ~ 喫煙室には、「20歳未満」は従業員でも入れたら違法です ’23年9月

 部分的な規制では不十分!実態を明らかに 「改正健康増進法」5年目の“見直し”迫る ~ 神戸大学などの調査発表 ’25年5月

 小学生にもよくわかる「受動喫煙防止法」(改正健康増進法) 成立について ’18年10月

 法律を知らない人がたくさんいます ~ 「改正健康増進法」施行から丸3年の問題 ~ 「がん研」調査より ’23年6月

 横浜市は「改正健康増進法」違反店に指導、罰則を科すことになっています(要通報) ’20年5月

 なにかよくわからない“受動喫煙啓発”ポスターに大金を注ぎこんだ東京都?! ’19年5月

STOP受動喫煙 新聞』 季刊・年1200円
 さらなる情報が読める! 各種サービスがある、当機構への入会=『STOP受動喫煙 新聞』のご購読=をおすすめします。

 ☆画像はクリックで「紙面案内・入会特典」ページが開きます。

コメントを残す

* が付いている欄は必須項目です。
アドレスは公開しませんが、内容確認の場合がありますのでご記入ください。
(名前は記入されたまま公開します。過去のコメント集「被害者のコエ」参照)
公開は内容確認後となります。若干の要約・修正や、公開しないこともあります。
※公開向けではない個人的な相談や意見は「お問い合わせフォーム」へお願いします。
※受動喫煙と関係ないこと、喫煙の非難などは書かないでください。

当機構からの回答や連絡は、必ずあるわけではありません。
投稿の方への、一般の方からの助言・ご意見・励ましの言葉も歓迎しています。
(その方のコメント末尾「返信」をクリックして投稿してください)

※公開したコメントの削除は基本できません。
 (より良くするための修正は検討します)
 コメント文の転載等その後の使用権は、当機構が有します。
 無断転載を禁じます。

*