法施行でどれだけ受動喫煙撲滅が進んだのか? 現状を健康福祉大教授が解説

 2020年に全面施行された=項目により2019年から段階的に「一部施行」がなされていた=、全国に適用されている、国の法である改正健康増進法。
 そのおかげで禁煙化が進んだところもありますが、まだまだと思えるところは多く残っており、法であっても限界があるのか、現状に憤る被害者は多数います。

 本欄でも解説記事を多く紹介した、健康福祉大学の教授が、その状況を解説しています。

 たばこと健康 法改正で受動喫煙対策も進んだが…
  =『THE SANKEI NEWS(産経新聞)』2022/8/22 21:19=

 以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。

“全面施行された改正健康増進法のたばこ対策は、次の3つの基本的考え方で構成される。

①「望まない受動喫煙」をなくす 受動喫煙による健康影響を踏まえ、屋内での望まない受動喫煙を防止する。

②受動喫煙による健康影響が大きい子供、患者に配慮する 20歳未満者や患者が利用する施設と屋外の受動喫煙対策を徹底する。

③施設の類型・場所ごとに対策を実施する 施設の類型や健康影響の程度に応じて禁煙措置や喫煙場所の特定を行い、掲示を義務付ける。”

“ これらの方針に基づき、建物・施設は第一種施設と第二種施設に区分され、前者は「原則敷地内全面禁煙」、後者も「原則屋内禁煙」になった”

“喫煙可能空間への20歳未満者の立ち入りも禁止された”

“ 第一種施設には……学校、病院等医療施設、保育所などの児童福祉施設および行政機関が含まれる。それらを除く複数の人が利用する事業所などが第二種施設とされた”

“ 文末の表1に「第一種施設の敷地内全面禁煙の実施状況」を示した……学校や児童福祉施設は、実施率が90%を超えたが、翌年に低下したことが気にかかる”

“医療施設は90%に未達だ。大学や行政機関の実施率に改善の様子が見えるが、一層の向上を望みたい”

“表2「第二種施設の屋内全面禁煙の実施状況」をみると、公民館や図書館など教育支援施設は第一種施設の学校と並んで屋内全面禁煙が進んでいる。都道府県議会および市町村議会が行政機関よりも高いのは意外だったが、最近は議会棟の喫煙室復活の動きもみられ、注意が必要だ”

“老人福祉施設も実施率が高い。喫茶店や食堂・レストラン、事務所なども全面禁煙の実施が進みつつある”

“ 20歳未満も利用するゲームセンターの実施率は上がったが、パチンコホール、バー、キャバレーなどは依然低い水準だ……非喫煙者の多くも「たばこを吸う場所」と承知のうえで利用していることが禁煙化遅れの理由かもしれない”

“ ホテル旅館などの宿泊施設は、客室宴会場分けて考える必要がある。健康増進法は客室禁煙を求めておらず、全客室禁煙の宿泊施設はまだ少ない。喫煙ルームでは「3次喫煙」を避けられないため全室禁煙が望まれる。宴会場を禁煙にして喫煙室を設ける施設も多いが、その配置によっては利用者の受動喫煙が懸念される。喫煙者の多くはアルコールを口にすると、たばこを吸いたくなるようだが、宴会施設の全面禁煙化はできないものであろうか”

“受動喫煙をなくすには、各施設を完全禁煙にすることが一番の解決策だ。受動喫煙を望まない利用者の声を各施設に届けていきましょう。
 (高崎健康福祉大教授  東福寺幾夫)

表1 「第一種施設」の敷地内全面禁煙実施状況
令和元年度 令和2年度

幼稚園、小・中・高校など      97.7% 94.5%
大学・短大             41.8% 60.4%
病院                87.6% ―――――
病院以外の医療施設         87.5% ―――――
保育所などの児童福祉施設      91,4% 83.9%
行政機関              58.2% 66.1%
注)医療施設等の令和2年度調査データはなし

表2 「第二種施設」の屋内全面禁煙実施状況
令和元年度 令和2年度

公民館、図書館、博物館、美術館など 90.6% 93.9%
老人ホーム、老人介護福祉施設など  71.7% 86.8%
都道府県議会、市町村議会      98.6% 94.6%
パチンコホール           14.5% 18.8%
ゲームセンター           45.5% 76.5%
ホテル・旅館等宿泊施設       38.9% 50.0%
バー、キャバレー、スナックなど   13.3% 25.1%
喫茶店               54.7% 67.0%
食堂・レストラン          66.1% 84.7%
事務所、工場、作業所、倉庫など   62.7% 70.9%

 なんと幼稚園~高校が100%禁煙ではないのですね。しかも下がっているし。病院・医療施設もさらに低いのは大きな問題です。

 「行政機関」が「第一種」なのに、「議会」が「第二種」ということも歪んだ法律です。(意外と禁煙化していますが)

 教授がおっしゃるように、受動喫煙に憤る人たちの声を届けていきましょう。

 

 タバコを吸って「おいしかった」と公表したタレントがモデルとなっていた、
厚労省の当初の啓発サイト画像

 岡田結実「タバコおいしかった」発言が炎上!『受動喫煙対策推進キャラクター』痛恨の失言
  =『週刊実話WEB』2022.08.11=

 
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓で引いてみてください。
 喫煙室の設置は撤回となります ~ 長崎市 ’22年7月

 横浜市は「改正健康増進法」違反店に指導、罰則を科すことになっています ’20年5月

 改正健康増進法、一部が開始! 受動喫煙被害撲滅の各地の動きは ’19年7月

 飲食店が喫煙営業できる“抜け道” 改正法は“ザル法” ’20年4月

 また教員が“隠れ喫煙”! 子どもたちが受動喫煙の被害 “頭が痛くて授業に集中できない”! 悲痛な訴えに地方紙が調査 ’21年7月

 未来の客より今の客? 法の抜け道で喫煙できるようにしたパチンコ店、18歳・19歳の客は「切り捨て」 ’21年12月

[東福寺教授の引用記事]
 “行き場失い”? 堂々と違反する喫煙者たち/〈感染と喫煙所〉問題その19 ’20年5月

 “感染対策は受動喫煙対策にも” 学者の詳しい見解報道 ’20年8月

 家庭での受動喫煙、子どもを守るには? ’20年11月

 母親の喫煙のほうが父親の喫煙より問題、「喫煙者への寛容さ」「次世代」に影響が = 大学生アンケートから ’21年12月

 喫煙女性の3割は妊娠してもタバコやめません・・・夫は大半が禁煙せず ’22年1月

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