’24年の受動喫煙撲滅はどうなるか? 近年・昨年の事例からの記者による考察
受動喫煙・タバコ問題について多くの論説を発表している石田記者の新記事です。
今年もほぼひと月が過ぎましたが、’24年からの展望について、受動喫煙の深刻な被害が続いてもあいかわらず喫煙・喫煙者を増やそうとするタバコ産業、およびそれらにカネをもらい助長している自治体などの問題を、厳しく非難しています。
「新幹線の完全禁煙化」や「加熱式タバコ増税」:タバコ問題は2024年にどうなるか
=石田雅彦サイエンスライター、編集者(’24)1/12(金) 15:19=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“2024年には、タバコに関するどのような議論が考えられるのだろうか。公共空間、プライベート空間、経済、健康といった項目を中心にみていこう”
“男性、特に中高年の喫煙率はまだまだ高い……これらの男性の世代は発言力もあり、政治や行政、経済の中核をなしていてタバコに関する議論がこじれる原因に”
“喫煙者の間で特に話題になっているのは、2024年春から東海・山陽・九州の各新幹線が全面禁煙化すること”
“新幹線の喫煙ルームは正確にはいつなくなるのか、東海旅客鉄道株式会社広報部東京広報室に聞いたところ、やはり2024年春という回答……廃止に向けた準備が整い次第、詳細な日程をアナウンスするという”
近鉄は禁煙化の決定・発表が遅れたものの、実施は3月からとはっきり発表しています(近鉄特急も車内「喫煙室」廃止、「全面禁煙」に。→ もう“喫煙できます”がウリにならない時代です)。JR東海はなにをいい加減なこと言い続けているのでしょうか……とこのサイト記事を用意していたら、JRは’24年1月26日、「3月16日から廃止」と発表しました。近鉄との競合でしょうね。喫煙ルーム、3月16日廃止 東海道・山陽・九州新幹線=『Yahoo!ニュース(共同通信)』1/26(金) 16:53=※これについては後日お知らせします。
“ 2024年は、屋内の公共空間での禁煙化が加速しそうだ。コロナ禍の中、不十分だった飲食店(法律を遵守していない喫煙可能店や喫煙目的店など)の禁煙化も徹底する動きが出てくるだろう”
“路上や空地、公園などの屋外でタバコを吸い、受動喫煙の害をおよぼし、吸い殻をポイ捨てするなどの迷惑行為をするといった問題が頻出している……こうした問題を解決するため、屋外の公衆喫煙所を設置することが多い。JT(日本たばこ産業)が無償で喫煙所を提供するケースが多いが、維持管理費や撤去費用は公費から出される”
“与党の税制改正大綱……の中に、屋外分煙施設等の整備の促進という項目がある。与党はその目的の一つとして、地方タバコ税の「継続的かつ安定的な確保の観点」と述べており、喫煙者を減らさないために喫煙所を設置しようと考えていることは明らかだ”
“ 無償で喫煙所を設置するものの後は放りっぱなしのJT、そして喫煙者を減らしたくない与党の思惑は共通している。ようするに、喫煙者の健康や受動喫煙の害より、カネ儲けのほうが大事なのだ……喫煙所を作れば喫煙者を減らさずにすむ”
喫煙所の設置で受動喫煙の防止を進めることは無理ということも言及。
“ 分煙を完全に実施するのは不可能だ。なぜなら、タバコ煙はどう防いでも出てくるものだし、タバコ煙を身にまとった喫煙者による三次喫煙の害が生じるからだ”
“政府やタバコ会社の姿勢などから、2024年には喫煙所問題がさらに過熱するだろう。
だが、その存在は、喫煙者が減ることを遅らせ、喫煙者の健康や受動喫煙の害を放置していることになる。少なくとも、公衆の健康や生命をあずかる公的機関が手を出すものではないのは明らかだ”
そしてもっとも、深刻な、被害相談が多い、住宅の問題は。
“ 改正健康増進法や各自治体の受動喫煙防止条例は、主に不特定多数が集まるような公的な屋内空間や飲食店などのタバコ対策のために作られ……放置されているのが、プライベート空間の受動喫煙の害だ”
“ 東京都は2018年4月1日から、子どもを受動喫煙から守る条例を施行した。この条例は、罰則のない努力義務として、家庭内でも子どもの受動喫煙を防ぐこと……条例は、保護者による自分の子どもに対する受動喫煙防止が主であり、他者のプライベート空間への規定ではない”
“ だが、都民に対して「いかなる場所においても、子どもに受動喫煙をさせることのないよう努めなければならない」とあるように、広く解釈すれば戸建ての近隣や集合住宅の隣室の子どもにも適用できる内容になっている”
“隣近所や集合住宅での受動喫煙の害が次第に顕在化し、メディアなどで取り上げられ始めている。兵庫県明石市では、分譲マンションに住む住人が隣室からの受動喫煙の害に悩み、受動喫煙防止を義務づけるように管理規約を変えて話題になった”
“専有部分、つまりプライベート空間での喫煙は米国ニューヨーク州の公営住宅など、海外でも議論に”
“個人の自由と他者被害の折り合いをどうつけるのかが問題……だが、受動喫煙の害は、加害者と被害者がはっきりしている”
“ これまで被害者が泣き寝入りをしてきたが、2024年には別の動きが出てくるだろう。ペットに関する規約を入れなければならなくなった(国土交通省、マンション標準管理規約コメント、第18条関係)のと同様、マンションの管理規約に受動喫煙防止の項目を入れる改定の動きが全国的に加速するかもしれない”
“禁煙マンションが増えたり、大きな社会問題になれば、プライベート空間での喫煙を禁じる条例や法令ができるかもしれない。東京都の子どもを受動喫煙から守る条例の内容を拡大し、いかなる場所においても、またどんな人に対しても受動喫煙がないようにするような条例(罰則を含む)が作られる可能性はある”
[当サイト関連既報] ※他にもありますので、検索窓やカテゴリーで引いてみてください。
【45号発行】『STOP受動喫煙 新聞』’24年冬号 = 新幹線「禁煙化」まだ続く問題!/受動喫煙の発生を続ける横浜市!/職場の受動喫煙撲滅へ、市が立ち入り!/「用語事典」……などなど、有用な情報満載です!
法令違反の「全面喫煙可」営業・「喫煙目的店」が多発! 国のあいまいな判断に東京都が抗議! ’23年9月
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喫煙所があっても「ポイ捨て」「路上喫煙」の解決にはなりません ~ 論説・ジャーナリスト石田雅彦氏 ’22年5月
新幹線の喫煙室廃止は当然! 大和教授が解説する煙の漏れと三次喫煙の害 「喫煙ルームを残している限り、受動喫煙をゼロにできない」「もっと早くになくしておかねばならなかった」 ’23年10月
知っていますか? 「子どもを受動喫煙から守る条例」(その1) ’18年5月
“家庭内の受動喫煙も禁止” 「子どもの健やかな成長のための」条例が成立 ~ 大阪府寝屋川市 ’20年3月
43号=’23年・夏号=発行 「マンションの受動喫煙を禁止とする規約成立」など役立つ情報を多数掲載 ~ 唯一の“受動喫煙問題”定期刊行紙『STOP受動喫煙 新聞』 ’23年7月
公営住宅が完全禁煙に!~アメリカ全土で快挙 ’18年8月
“受動喫煙の可能性がある喫煙は禁止” マンション規約が新たに “喫煙者側が証明すべき” ’23年12月