ベランダ喫煙に対し訴訟、最高裁へ ~ 大阪
受動喫煙で最も被害の声が強い、住宅での近隣からの被害。
大阪でこんな裁判が進められてきたそうです。
「迷惑行為をやめろ」…ベランダ喫煙で訴訟に発展 煙たがられる「ホタル族」のリスク
=『THE SANKEI NEWS(產經新聞)』2023/4/23 06:00=
以下抜粋、「……」は文省略・太字化は引用者によります。
“階下の住民が吸ったたばこで健康被害を受けた―。大阪府内の男性が階下の住人に損害賠償を求める訴えを起こし、大阪高裁が2月、控訴審判決を出した”
“飲食店や公共施設内での喫煙が原則禁止される中、自宅のベランダ喫煙は〝グレーゾーン〟として残る”
“過去には同様の事案で賠償命令が出たこともあり、「ホタル族」に潜む訴訟リスクが改めて浮き彫りとなった”
“「迷惑行為をやめろ」
「なぜベランダで喫煙してはいけないのか」……令和元年、60代男性(原告)と真下に住む70代男性(被告)が口論……被告はその4年前に自宅をリフォーム。「部屋を汚したくない」とベランダで喫煙するようになり、抗議を受けるまで1日20本弱のたばこを吸っていた”“原告は翌年にも被告に抗議した上、一昨年春には、約6年間も受動喫煙を強いられたことで心臓の病気を発症したとして、550万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした”
“原告は、大気汚染物質「PM2・5」などを測定できる機器を3台購入してベランダに設置。測定値が環境基準を上回ることが頻繁にあり、「汚染物質の発生源は被告宅以外に考えられない」と主張”
“被告は、抗議を受けて公園で喫煙するようにした上、提訴される半年前からは禁煙に成功していたと反論”
この、抗議後にすぐ喫煙場所を変えた、というのは本当でしょうか。それが事実でその公園から部屋まで煙は届かない、というなら訴訟になりません。この事実確認がどうなされたのか、不明です。
記事はそれには触れず、裁判の行方が続きます。
“ 昨年9月の1審大阪地裁判決は、測定値について……信用性を否定。被告の説明を覆す証拠はなく、1度目の抗議以降はベランダでの頻繁な喫煙は認められないとした”
“「近隣住民に重大な健康被害を受けやすい疾患があることを知りながら、被害を与えやすい頻度で喫煙を繰り返していれば不法行為を構成する」と判示。今回はそれに該当しないとして原告の請求を退けた”
“原告は控訴したが、大阪高裁は今年2月、控訴を棄却。原告はこの判決も不服として上告した”
原告が上訴(控訴=一審から二審へ・上告=二審から最高裁へ、その両方をまとめて上訴という)を続けたのは、タバコ臭は続いている、加害者がいう場所を変えたとか卒煙したというのは嘘である、ということからでしょうが、測定器だけで目撃など証拠を見つけられたなかったのでしょうか。
記事は過去の例、社会状況について述べて終わっています。
“過去にはベランダ喫煙が違法と認定されたこともある。
名古屋地裁は平成24年、マンションに住む女性が階下の男性に対して150万円の損害賠償を求めた訴訟で……5万円の賠償を命じ、確定した”“トラブル解決支援事業「ヴァンガードスミス」(東京)が今年2月……男女500人に過去に経験した近隣トラブルを尋ねたところ、「生活音・騒音」(305人)に次いで「臭い(たばこ・悪臭)」(77人)が多かった。同社に寄せられる臭いに関する相談も、9割以上がベランダ喫煙に関連しているという”
“中村正和・ヘルスプロモーション研究センター長……「少なくとも集合住宅においては『共有部分は禁煙』とする全国共通の規約を作るなど、国が旗振り役となって対策を講じるべきではないか」”
住宅での近隣からの受動喫煙は、本当に深刻な相談が多く、弁護士を紹介してほしい、裁判を起こしたい、という人もときどきいるのですが、実際に提訴した例はわずかしかありません。
全国の被害の撲滅につながるよう、証拠を確定して、正式に進めてほしいものです。
画像は大和浩教授の実験・『STOP受動喫煙 新聞』第26号掲載
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